デパケンが片頭痛の発作予防の適応を取得

 協和発酵キリンは6月16日、同社が製造販売する抗てんかん薬「デパケン(一般名バルプロ酸ナトリウム)」が片頭痛の発作予防の適応を取得したと発表した。片頭痛の予防薬としての適応を取得した薬剤は、カルシウム拮抗薬ロメリジン(商品名テラナス、ミグシス)に続き2剤目となる。

 適応を取得したのは、同社が製造販売する「デパケン錠100、同錠200」「デパケン細粒20%、同細粒40%」「デパケンR錠100、同R錠200」「デパケンシロップ5%」。いずれもバルプロ酸ナトリウムとして400~800mgを1日2~3回に分けて経口投与し、1日量は1000mgを超えないこととしている。

 日本頭痛学会などが2005年にまとめた「慢性頭痛診療ガイドライン」では、バルプロ酸をアミトリプチリン、プロプラノロール、チモロールと並んで最も効果の期待できる「Group1(有効)」に位置付けていた。このため国内では、適応外処方されるケースが少なくなかった。

 バルプロ酸ナトリウムによる片頭痛の発作抑制については、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で議論され、同社は昨年11月、薬事・食品衛生審議会の事前評価を経た後に公知申請していた。公知申請とは、医薬品の有効性や安全性が医学薬学上公知であるとして、医薬品の効能・効果の追加に当たっての臨床試験の一部あるいは全てが免除される制度。

 慢性頭痛の診療ガイドラインでは、トリプタンやエルゴタミンの投与といった急性期治療だけでは十分な効果が得られず、片頭痛発作により日常生活に支障がある場合や、急性期治療薬が使用できない場合などは、予防療法を行うよう勧めている。また、片頭痛発作が月に2回以上あるケースでは、予防療法の実施の検討を推奨する。予防療法は、有害事象がない限り、十分な臨床効果が得られる用量とし、2~3カ月ほどの期間をかけて効果を判定するとしている。